事例ファイル【家族信託】高齢の母の認知症対策家族信託

現在古家に1人暮らしをしている83歳の母、自分も高齢になってきたのでそろそろ安心できる施設へ移住しようと考えていました。

この古家はいつでも帰って来られる場所としてそのままにし、将来資金が必要になったら売却しようかなと思っていました。‥‥しかし自分が認知などで判断能力が低下してしまうと、この自宅は売却することも賃貸することもできなくなってしまいます。

「不動産相続の相談窓口」のもめない相続セミナーに参加し、家族信託について勉強しました。自分が元気なうちに万が一の認知症の対策として、家族信託を活用しようと決めました。

家族信託は特定の財産について所有者を委託者、財産を管理・運用・売却などができる権利を託された者を受託者、その財産から発生する利益をもらう者を受益者といいます。通常では委託者が受益者になります。

まず自宅を委託者と受益者、管理委・運用・売却などができる権利をもつ受託者を長男にお願いしました。後々の相続人同士のトラブルを防ぐため、自分の想い、なぜ長男に自宅の受託者になってもらうのかなどを他の子どもたちにも理解してもらいました。

次に家族信託を取り扱っている司法書士に信託契約書を作成してもらいました。受託者の長男には必要があればいつでも自宅を売却してもらえるようにしました。この信託契約書は公正証書にしてもらいました。

周りからの助言により、家族信託には遺言機能もあるので売却代金が残った場合は相続人全員に均等に分けること、もし相続が発生するまで自宅を売却する必要がなかったなどの場合は自宅の名義は長男とし、売却した代金を他の相続人と共に均等に相続させることで信託契約は終了するようにしました。

もし認知症と判断されてしまうと、この自宅は売却することも賃貸することもできなくなり、塩漬け状態になってしまいます。最近近所にも空き家が増えていますが、認知症対策として家族信託の活用をご検討されることをお薦めします。