事例ファイル【相続税】不動産の相続税評価にチャレンジしよう

私に相続が発生したら、相続税が課税されるのか? それとも課税されないのか?

不動産の相続税評価額について説明します。不動産には土地と建物があります。まずは少し複雑であり独特な土地価格について学んでいきましょう。

土地の価格には「一物四価」といいますが、4つの価格が存在します。実際の取引相場である実勢価格、新聞紙上で毎年3月頃に発表される地価公示価格、国税庁(税務署)が毎年7月頃に発表される路線価、固定資産税や都市計画税を計算するために用いられている基準価格である固定資産税評価額の4つが挙げられます。

地価公示価格は国や県や市などの公共機関が、道路の拡幅など公共事業として必要な土地を買い取る際の基準になる価格になります。国土交通省土地鑑定委員会が全国26,000ほどの地点の土地価格を不動産鑑定士に査定、決定します。地価公示を100とした場合、路線価は80、固定資産税評価額は70を目安に決められています。

相続税評価額はこの中の路線価が用いられます。路線価×地積(その土地の面積:単位は㎡)=相続税評価額になります。この路線価ですが、例えば静岡ですと、住宅など建物を建てることができる土地には路線価が決められています。また郊外では市街化調整区域や非線引き区域など主に農地など建物が建てられない土地などには路線価はありませんが、固定資産税評価額×倍率(倍率表で決められた数字)を路線価として用いられることになっています。路線価と倍率表は、国税庁が発表する財産評価基準書に掲載されていますからご自分の所有する土地の評価を知っておくことも大切です。

土地は一つとして同じ条件のものはありません。南向きの土地、北向きの土地、前面道路の広い土地、狭い土地、道路に接する土地の間口が広い土地、狭い土地、高台にある土地、低地にある土地、傾斜地にある法面のある土地など様々です。先ほどの(路線価×地積=相続税評価額)に対して条件の良い土地は加算したり、条件の悪い土地は減算して最終的に相続税評価額を算出していきます。

建物については固定資産税評価額がそのまま固定資産税評価額になります。

自宅が東京などの都心にある場合、路線価が100万円(1㎡あたりの価格)といった土地も多く存在していますが、相続税評価額を算出すると驚くような数字になるケースも多々あると思います。そこで相続税評価額を下げられる特例をあります。小規模宅地の特例といい居住用に限定されますが、土地を相続した配偶者や同居していた親族は330㎡までの土地の部分を80%減額できる制度です。これにより路線価100万円の住宅地100㎡(約30坪)の本来の評価額は1億円になってしまいますが、小規模宅地の特例を活用することにより2,000万円に減額されることになります。非常にありがたい特例です。

相続対策にはアパートを建てる、といった話をよく聞きます。次回では賃貸アパートと節税についてお話しておきたいと思います。