事例ファイル【家族信託】家督相続と孫への資産承継対策!

80歳男性からの相談です。相談者には60歳の長男と55歳の次男がいますが、自宅以外に先祖から引き継いだ土地を含め複数の収益物件をもっています。長男夫婦には子供がいませんが、特に先祖から相続した2つの収益物件については家督は長男へとの相談者の思いから、信託財産として長男に相続させたいと考えています。また次男夫婦には、相談者が幼少より可愛がっている27歳の孫がいます。

長男に相続させた場合、いずれ長男に相続が発生すれば、相続財産は長男の嫁へ相続され、最終的には嫁の遺言書がなければ、嫁の兄弟姉妹へ財産が引き継がれることになってしまいます。相談者としては一族の財産がお嫁さんの一家へ引き継がれてしまうことが心配であり、お嫁さんが遺言書を作成したとしても将来において気が変われば何時でも遺言書の書き換えることが可能ですし、相談者の悩みはつきません。

相談者は相続勉強会で、家族信託という手法を知りました。長男に引き継がれた財産が、長男のお嫁さんの親族へ流れることがないようにするにはどうしたらよいのか、専門家を交えて話し合いをしました。まず相談者を委託者、27歳の孫を受託者、相談者を第1受益者として信託契約を結びました。信託契約には、もし相談者に相続が発生したら第1受益者たる財産を長男へ相続させ(第2受益者)、長男に相続が発生したら長男の嫁に相続をさせる(第3受益者)、そして長男の嫁に相続が発生したら残余財産は受託者である孫へ相続させた段階で信託契約が終了するようにしました。こうしておけば相談者の希望は次世代へと反映していくことが可能です。

万が一を考えて、受託者である27歳の孫が暴走することがないように監督人を決めておくことも可能です。家族信託を組成するにあたり、様々なことを考慮し、ケースバイケースで対応していくことが大切です。