事例ファイル【相続対策】遺言書の作成その2

なぜこのような遺言書を作成したのか、財産を遺す本人の相続についての考え、思いを遺言書の中の付言事項に込めることができます。

Aさんには奥様B、長男C、次男D、長女Eがおられます。Aさんは自分亡き後、これまでのように長男Cの家族と共に奥様Bが安心して暮らしていけることを望んでいます。しかしAさんには自宅の土地建物のほかには、わずかな預貯金と現金があるだけです。

自宅の土地建物の時価評価は2,000万円、現金と預貯金は400万円ほどです。もし万が一、Aさんがお亡くなった場合、奥様Bが2分の1、長男Cと次男Dと長女Eはそれぞれ6分の1が法定相続による財産分割になります。

Aさんは遺言書に自宅土地建物は長男Cへ、他の財産は次男Dと長女Eに相続させるよう記載しました。次男Dと長女Eの遺留分は本来の法定相続分の2分の1、つまり12分の1になります。全体の相続財産が2,400万円ですから、12分の1は200万円になります。したがってAさんの遺言書の通り、遺産は分割されることになりますが、なぜAさんがこのような遺言書を作成したのか、Aさんの想いについて付言事項を記載しました。

 

付言事項  ◆◇◆◇ 妻B、長男C、次男D、長女Eへ

私もいい年になって、いつどうなるかわからないので一筆書きました。良い妻、子供達に恵まれて、本当に幸せな人生だったと思います。

父親として至らない部分も多く何かと迷惑をかけましたが、最期までついてきてくれた妻、そして子供達に本当に感謝しています。ありがとう。

もし、生まれ変われるのなら、また家族として一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

この遺言書は父の最期のわかままで、お願いです。どうかこの遺言書のとおり執行してください。私の死によって発生した相続財産は、もともとなかったものと思って、この遺言書の内容で誰一人もめないことを強く望みます。皆くれぐれも体には気を付けてお元気で。

Aより