事例ファイル【遺言・認知】夫に愛人の子どもがいる家族

■遺言による認知で遺産分割は上手くいくのか?

64歳になったAさんは妻と長女、次女の4人家族です。実はAさんには20年以上もお付き合いのある42歳の愛人がいます。二人の間には認知されていない14歳になる長男もいます。

Aさんはこの事実を家族に告げる勇気もなく、あるセミナーで「遺言で非嫡出子の認知ができる」という知識を得ました。早速、士業の方と相談しながら公正証書遺言を作成しようと考えました。

Aさんは自分が亡くなった後だから、家族が長男の存在を知っても関係ないと思っていましたが‥‥

友人からひと言、「あなたの遺言書をみて、残された家族たちはどう思いますか?家族が崩壊、バラバラになっても後悔しないのか?」

確かに法律的にはAさんが亡くなり、遺言書の中で認知し、相続人として一部の財産を相続させることは可能です。しかし何も知らない家族がAさんが亡くなられた後に愛人や子供の存在を知るよりも、Aさんが元気なうちに家族に告白して解決をはかる方が本当の勇気、責任ではないでしょうか。